印鑑の水晶堂

印鑑まめ知識

実印にできないハンコ
車や家を買おう!という時に必要なのが、実印と印鑑登録証明書。
実印とは、住民登録のある各市町村役場に登録したハンコのことで、契約時に使用者の意思を証明する役割を果たします。印鑑登録は、原則として15歳未満は不可で、ハンコの所有者本人の申請が必要となります。
しかし、ハンコなら何でも実印にできるわけではありません。登録できるハンコは各市町村によって規定されています。規定は各地で微妙に違いますが、一般的には「印影の大きさが直径8mm以上25mm以内の正方形に収まるもの」とされています。また、登録印は戸籍上の氏名、苗字、名前のいずれかが完全に表示されたものに限られます。名字に名前の一部を付けたものや、名字と名前の頭文字同士を組み合わせたもの、氏名をひらがなやカタカナにかえたものは登録できない市町村が多いのでご注意。
ゴム印やイモ判など変形しやすい素材のハンコもNG。また、大量生産された既製の認印も、同型印が存在する可能性があるため、実印には不向きと言えます。
このように厳しく条件が規定されているのも、「実印」が法的に重要なものだからです。実印用のハンコを購入する際は慎重に選びたいものです。
紛失、盗難にあったら
実印や代表者印の紛失、盗難にあった場合は、すぐに市町村役場や登記所にその旨を届け出ましょう。そのハンコを悪用される恐れがあるからです。紛失や盗難の届出をすることで、印鑑証明書を受けられないようにして、トラブルを未然に防ぐのが大切です。さらに改印届を出して、無くしたハンコの実印としての効力を失わせることも忘れてはいけません。
銀行印の場合もすぐに銀行に事故届を出し、同時に改印届も提出しましょう。これらの手続きと同時に、警察署にも紛失届、盗難届を出し、紛失届出証明書、盗難届証明書をもらっておくのも忘れずに。
銀行印と認印の違い
実印の他にも、ハンコはたくさんの種類があります。代表的なのが「銀行印」。その名の通り銀行に届出をしているハンコのことで、用途は銀行預金、郵便貯金などの金融関係のみに使用します。1本のハンコで複数の口座を開設している人が多いですが、安全のために万全を期すなら、金融機関や口座ごとに違うハンコを使ったほうがいい。
次に、日常の中で最も使うのが「認印」。家庭だけでなく、職場でもよく使われるハンコですが、その扱いは決してぞんざいにしてはいけません。たとえ認印でも、捺した人の意思を表すことに変わりはないからです。ハンコを捺すことで証明手段をとる訳ですから、いったん使用したハンコであれば大事に保管しておきたいものです。また、契約書に自分の意思で捺印すると、「実印」と同じ効力が生じる場合がありますので、くれぐれも注意を!たとえ認印でも、ずさんな管理をしていると、悪用される危険もあります。
会社を設立する時や代表取締役の変更があった場合に必ず法務局に登記しなければならないのが「会社印」。直径2cmほどで、「○○株式会社代表取締役之印」と彫られているのが一般的。いわば会社の実印で、登記申請や株券発行、正式文書など、重要な契約時に個人の実印同様に使用します。こちらの保管も厳重に。
「捨て印」にご注意!
契約書などを書いている時、書類の欄外に「ここにもハンコを捺して下さい」と言われたことがあるはず。これは捨印と呼ばれています。
この捨印は、何も考えずに捺してしまうととっても危険。捨印は訂正印の役割を果たすもので、後で訂正があった際にまたハンコを捺してもらう手間を省くためのものです。つまり捨印を捺すのは、後で文書の内容がどのように変更されても構いませんと言っているのと同じなのです。捨印を捺したために、後で契約内容を不当に書きかえられることも考えられるので、充分に気を付けたいものです。
マンモスから純金より高い石まで!?
ハンコに用いられる素材、つまり印材は現在約200種類あると言われています。私たちに身近な木材、動物の角や牙、チタンなどの金属、石などなど。変わり種ではカバの歯、アルミ、宝石のルビー、永久凍土から掘り起こしたマンモスの牙までハンコの素材として売られています。
また、篆刻などに用いられる石印材は高価なものが多い。横山大観画伯が愛用したといわれる「鶏血石」や、中国皇帝の印に使われた「田黄」は1個数百万円で取引されると言われます。特に、石帝という異名を持つほどの田黄は「同じ重さの黄金の7倍の価値がある」とさえ言われています。
ちなみに史上最も高価なハンコは2003年7月に中国で競売にかけられた清朝皇帝の印で、落札価格はなんと600万元、日本円で約8600万円だった!
注意!材質で違うハンコのお手入れ
実印などの一生モノのハンコは、きちんと手入れして長持ちさせたいものです。最高級の象牙を買っても保存が悪いとひび割れてしまうこともあるのです。
まず、ハンコを使った後は印面をよく拭き取っておくことが肝心。朱肉の油を吸いすぎるのは良くないためです。保管は温度差の激しいところや極端な湿気、乾燥、直射日光や風通しのあるところを避けること。自然素材の象牙、黒水牛、ツゲなどは湿度の変化に弱く、ヒビ割れの危険があります。特に冬場の暖房器具の周囲は要注意。金庫のような密閉されたところに保管するなら乾燥剤を入れて湿度を調整しましょう。
黒水牛などのツノ材は虫に食われることもありますので低温で埃の少ない場所が良いでしょう。縮みを防ぐため年に一度、椿油などを塗って油分を補給するのも良いでしょう。ただしツゲや象牙には塗らないこと。
意外!?国宝金印はなんだ小さいぞ?
日本人なら誰でも知っている国宝「漢倭奴國王」の金員。古代の日本の王が中国皇帝から授かり、18世紀になって、福岡県志賀島の田んぼからお百姓の甚兵衛さんが発見した・・・ここまでは歴史の教科書で有名な話ですが、その実物がどんなものか、見た人は少ないのではないでしょうか。
金印の実物は現在、福岡市博物館に保存展示されていますが、その実物を見るとあまりの小ささに拍子抜けされることでしょう。印面は縦横わずか2.3センチ。高さも2.2センチと指先に乗るサイズ。一方、重さは約109グラムで、さすがに95%が金の重厚さ。つまみの部分は蛇の形をしていますが、これは授けられた民族の種別や中国(漢)との関係によって異なり、他にもラクダ、羊、馬、亀などの印が中国で発見されています。
お父さんの形見のハンコは使えるの?
結論から言うと、「使えません」。
実印登録するハンコは法律で「住民基本台帳に記載されている氏名、名字、名前のいずれかが完全に表示されたもの」と決められていますので、個人の姓名入りのハンコは(同姓同名でない限り)実印にできません。
姓だけが彫られたものなら、実印でも銀行でも登録できますが、故人がどんなものに捺したか分からないものを登録印にするのは危険。いわれのない借用書にあなたの実印が捺されている、なんて可能性もあるからです。
どうしても、形見を受け継ぎたければ専門店で「改刻」してもらいましょう。印面だけを彫り直す方法で、少し短くなるけどお父さんの思い出はそのまま・・・。
ケースを知ればハンコは落ちない!?
湿気や温度変化などの環境の変化や虫、埃などの外敵から印材を守るのがケースの役目。逆にいえば、ケース無しで保管するのはハンコの寿命を縮めるだけ。
ところがケースが裏目になることもあります。ケースの上下が分からずに開けたために、ハンコを落として破損させるトラブルが少なくないのです。
そうならないためにも、ケースの上下判別を覚えておきましょう。まずはケースを水平に持って、口金の部分をよく見ると左右どちらかに一本線が入っているが、二重玉になっているはず。その印のある方の口金を右にくるようにして開けば、必ず上下正しく開くように作られています。口金に印がない場合は購入する際にお店で訊ねよう。
あわてるな!インクの補充は慎重に
ネーム印のインクがかすれても、あわてて捨てないで!
ほとんどのネーム印はインクの補充が出来ます。
まず印面を下にして、半日ほど使わずに立てておきます。それでもかすれていたらインク補充のサイン。付属の説明書を参考に、専用インクやカートリッジで補充しましょう。この時、他の製品のインクを間違えて入れると、変色したり印面が固まって使えなくなることもありますので要注意!必ずそのネーム印の専用インクを使うこと。同じメーカーでも、商品によってインクの成分が異なったり注入式やカートリッジ式など補充方法が違うこともあります。分からないときは購入したお店に相談しましょう。
面倒だからと印面からインクを注入する人もいますが、これはかえってインクが馴染むのに時間がかかります。ちゃんとネーム印のボディを開けて、注入部から補充しましょう。
白紙委任状ほど恐いものはない!?
白紙委任状を受けたほうは、その気になれば白紙の部分に好きな事項を書くことができ、第三者が見れば信用されるわけですから、いくらでも悪用できます。とにかく、やむを得ず委任状を書くときは委任する事項をできるだけ詳しく書いてはんこを押すのが良いでしょう。くれぐれもご用心を。

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